「冗談で言ってたら本当に鈴がブラコンになっちゃって逆に戸惑う恭介」byNELUOさん

 

「今日のミッションはこれだ。
 第1回 鈴ブラコン化計画』発動!!」

 し〜ん。

「何故だ?! 何故ノってこない!!!」
「そりゃあお前の私利私欲だろう。お前のお遊びには付き合ってられん」
「ふーん、って感じだな。筋肉が喜びそうじゃないからパスだな」
「謙吾、真人…。お前らって結構白状なんだな…」

 大男二人が去った。
 
「理樹は…お前は協力してくれるよな!」
「う…うん、まあ」

 残された気弱そうな少年だけがその場に残された。

「で、相談なんだが…どうやったらいい?」
「やっぱり計画性は無いんだ!」
「そんなことはどうでもいいだろ。つまりはだ。お前は鈴から好かれてる。どうやったらそうなったかを教えてくれたらいい。そうすれば俺も鈴から好かれる、って算段だ。どうだ?」
「むちゃくちゃだよっっ」

 無理な理論に少年が思わずツッコんだ。
 持って生まれた資質、生き方、性格。それらが合わさって、好かれたり嫌われたりしているのだから。
 
「どうだ? 理樹。何か上手い方法はあるのか?」
「あるかって言われても…。あ、そうだ! 西園さんに聞いてみるよ。あの人なら怪しい方法も知ってそうだし」
「西園か…。確かに裏技みたいなものを知ってそうだな。俺は俺で探ってみるから、頼んだぜ」
「うん、わかったよ!」

 少年…直枝理樹は、恭介が妹から好かれてないどころか、ずっと嫌われ続けてることに心を痛めていた。
 だからどんな方法だろうと、一度くらい好かれてる気持ちを味わせてあげたいと思っていたのだった。

 

「西園さん。かくかくしかじかなんだけど」
「そうですか…。それは難しいですね」
「何とかしてあげたいんだよっ。例え一時的にでも」
「そうですか。恒久的にで無いのでしたら、この方法があります」
「どんな?」
「これです。このおまじないを鈴さんにかけるだけで効き目があります」
「おまじない? こんなので上手く行くの?」
「たぶん。本好き女子の間で相伝されているおまじないですから」
「わかったよ! やってみるよ!」

 少年は図書室を去った。

 

「さて、鈴。ちょっと来てくれる?」
「理樹か。あたしは今忙しい」
「猫を探してたようにしか見えないんだけど?」
「うにゃっ。うっさいぞっ」
「まあいいや。手間は取らせないからさ。この呪文を言って欲しいんだ」
「じゅもん?」
「うん。この『ダンコラブハシタア』ってのを」
「だんこらぶはしたあ?」
「うん。それそれ。それを五回唱えてみて」
「だんこらぶはしたあ、だんこらぶはしたあ、だんこらぶはしたあ、だんこらぶはしたあ、だんこらぶはしたあ。…言ったぞ? 何が起こるんだ?」
「まあ、そのうちわかるんじゃないかな? ところで、恭介知らない?」
「きょーすけ? あのバカあに…」
「?? どうしたの?」
「う…いや、何となく『バカ』は言いすぎかと思ったんだ」
「え?」

 効果てきめんだった。
 少年もあっけに取られるほどに。

「お、理樹っ、ここにいたか。って鈴もいるじゃないか? どうだ? 上手く行ったか?」

 恭介がやってきた。
 ちょうど良いので、少年は彼と妹を向かい合わせてみた。

「鈴…どうだ、俺だ。お兄ちゃんって呼んでみろ」
「お、おにい……ダメだ」
「やっぱりダメか…」
「は…恥ずかしすぎるだろっっ。この歳になって、面と向かって言えるわけないだろ…」
「へ?」

 彼は、その反応に驚き固まってしまった。

「だいたい…なんだっ。改まってそう呼ばせたいなんて…。理樹が見てるところじゃやじゃっ」
「えぇーっっ」
「ちょっっ…」

 顔を真っ赤にしてる彼女。
 その初めて見る表情に、野郎二人はどう反応していいか戸惑っていた。


(続かない? 続く?)




    
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