『あっちむいてほいに勝てない佳奈多SS』(まーさんからの)

 

「どうして勝てないの?」
「そんなこと言われても…」
「おかしいじゃない。私が顔を向いた方向に必ず指を差してるんだから」
「お姉ちゃん。ズルはしてないよ。理樹君も、私も」
「そ、そんなわけないでしょ? おかしいじゃないっ。クドリャフカも言ってあげなさいよっ」
「わ、わふー。何ででしょう? でも、少なくともリキも三枝さんもいかさまはしてないのですー」
「なんてこと…っっ」

 どうして勝てないのか。
 何で勝てないのか。
 
 あの、秀でた長所のない直枝理樹が。
 あの、通知表オール2の三枝葉留佳が。
 あの、チワワのように犬っぽくてちっちゃくて可愛らしい能美クドリャフカが。
 
 あの三人が勝てるゲームを、私はどうして勝てないのか。
 しかも、よりによって相手はその三人だ。
 頭が切れすぎる来ヶ谷唯湖や、遊びだけは超一流の棗恭介に負けるのならまだ理解できる。
 でも、私が勝負を挑んで負け続けているのは、どう見てもそういうゲームや勝負事に強いとは思えないこの三人なのだ。
 
 なぜ? どうして? Why?
 いくら問いかけても誰も私にとって有効な答えを教えてはくれない。

 ならば…選択肢は限られている。
 
「勝負よ。私に、その原因が掴めるまで」
「別に僕はいいけどさ」
「私にも異論はありませんっ」
「いーけどさ。もし十回連続で負けるようなことがあったら、お姉ちゃん罰ゲームだからね」
「良いわよ。ま、それまでに私が勝つようなことがあったら、逆に葉留佳に罰ゲームしてもらおうかしら」
「構いませんヨ? じゃ、さっそく勝負しょーぶっ!!」

「「「「じゃーんけーんぽんっ」」」」

 負けた!
 
「あっち向いてほーいっ♪」
「こっち向いてほいですっ」
「どっち向いてほーい?」

 向いた!

「あ、引っかかりましたねー。佳奈多さん」

 負けた…。クドリャフカが差した方向を向いてしまった。
 
 でもまだまだっ。

 

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「あのさ、理樹君。そろそろお姉ちゃんに教えてあげない?」
「何で? 何を?」
「あっち向いてほいっ、のカラクリですヨ」
「佳奈多さん、あまりにわかりやすいからなあ」
「リキに、次佳奈多さんが出すのは何かがわかるカラクリを聞いた時にはビックリしましたっ」
「佳奈多さん、じゃんけんが致命的にダメだから」
「じゃんけんは教えてあげようよー」
「うん。じゃんけんが勝てるようになったからって、あっち向いてほい、にはまだまだ難関があるからね」
「そうなんですか…」
「そうそう。それにお姉ちゃん自身が気づくまで、お姉ちゃんを好き放題できるってわけですネー。理樹君わるーい♪」
「あはははは」

 

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「負けたわ…。何でも言ってみなさいよっ」
「そうだなあ、どうしよっかな…」


(つづくの?)


 




    
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