不可解な扉を見つけ一階の捜索が終わった真人たち。
そして二階に上がる。



リアル肝試し 三話
        



       謙吾チームepisode2

ガツッ!
謙吾の足に何か当たった…

「ひゃっ!?」

謙吾ではなく鈴が驚いた。

「ん?何だこれは?」

謙吾がそれを拾う…。

「な!?…ん!?こっ…これは!?」
「時計だ!しかも動いている!?」
「えぇー!?何で?」
「2分ぐらいずれているがな」

壊れていないどころか時を刻んでいる時計…。

「何でだ?」

鈴が聞く。

「さあな。誰か居るのかもな。この汚れた建物のどこかに…」
「どこかってどこだ?」

鈴がまた聞く。

「どこかって…俺が分かるわけ無いだろう」
「鈴?怖いの?」
「こっ…怖いわけないだろうー!……美魚は大丈夫なのか?」
「少し…」
「他に手がかりになるものは何もないね…」
「とりあえず保健室を出よう」

廊下に出る理樹達。

「あ…!」

来た道を見る美魚。

「どうした西園?」
「……いいえ何でもありません…勘違いみたいです」
「じゃ理樹、先の道へ進もうか」
「…そうだね」

続きの道を歩く。
静かな廊下の外で虫の音が聞こえる。

「スズムシだね…」
「スズムシって雄だけ鳴くんだよな」
「スズムシってどう鳴くんだ?」
「雄の羽は幅が広くて、脈が発達しているらしいです。その太い脈はヤスリのようになって、羽を垂直に立てて左右に細かく震わせ、ヤスリを擦り合わせて美しく鳴く。らしいです」
「へえーそうなんだ」
「wikipediaでそう記載されています」
「はあ…」

そんな話をしていると…。

「おっ、理樹階段だ」
「一階はここで終わりだね」
「んっ?終わりなのか?」
「一階は踏破ですね」
「他の所はいいのか?」
「別の道は恭介達が捜索しているだろう」

そしてみんな階段を見上げる。

「先が見えないぞ」
「ああ…階段暗いな」
「理樹行くか?」

そのとき美魚は言う。

「階段…というと十三階段を思い出します…」
「学校の怪談のひとつだな」

「「え…?」」

理樹と鈴が硬直した。

「大丈夫です。段数は11段で縄もありません」
「怖いんじゃボケー!!」
「何でもいいから登るぞ」

二階へ上がる。

「3階への階段は続いているが」
「この階を先に調べてみようよ」
「そうだな」

さっき通ってきた道の丁度上を通る。
数メートル歩くと…。

「ここ玄関じゃないか?」
「入ってきた所とちがうね」
「職員玄関ですね」
「何もないな」
「先行きましょう」

先へ進む謙吾一行。
右へ曲がる。丁度保健室の引き戸の真上の辺りだ。

「うわー先が長そうだよ」
「突き当たりが見えないな」
「向こうから何か来そうだよ…」
「骨格標本とか人体模型とか…」
「無数の手が現れたり…」
「落ち武者とか?」
「ピアノの音とか聞こえそうだよ」
「よくある噂だな」
「軍人ジョーが向こうから現れたり…」
「エイリアンが天井から降りてきたり…」
「それはある意味怖いね…」
「お前ら何もしゃべるな!」

鈴が怒った。限界のようだ。

「おっ、ここは職員室みたいだな」
「扉開いてるね」
「ここは下駄箱の真上のようだな」
「てことは真下が入口だね」

謙吾は躊躇なく入っていく。
続いて鈴達も入る。僕らは抵抗あるが。

「散らかっているな」
「職員室っていったら何かありそうだよね」
「じゃ、捜索してみよう」


   恭介チームepisode2

人の住んでる気配を感じた恭介たちはまだ調理実習室にいた。

「ここは人が住んでいそうだな」
「廃墟マニアか?」
「コマリマックスお手柄だぞ」

来ヶ谷に褒められた小毬は少し嬉しそうだ。
小毬が笑顔になったその時。

シャラン…シャラン…

何か聞こえる。

「ん?何だ?」

金属が当る様な物音が聞こえる。

「廊下から聞こえるな」

シャラン…シャラン…

近づいてくる。

「ふぇぇえぇぇええぇぇ?」

小毬はパニックになる寸前だ。
恭介、来ヶ谷、小毬は咄嗟に隠れる。
入り口を見つめる。

シャラン…

物音が止まった。
そこには人がいた。
真人や謙吾ではないようだ。
白い髪、白い礼服を着た女性が理科室の前に立っていた。

ガチャガチャ…ガラーッ

鍵を開け中に入っていった。

「私達も入るか?」
「いや、待て。今入ったら見つかる」
「待つのか?」
「そうだよ。入ったら見つかちゃうよぉ」
「やっぱ入る」
「ふぇぇ!?恭介さん入るの!?」
「よし、行くぞ」

特攻する恭介、来ヶ谷、小毬。理科室の鍵は開いている。

「どちら様ですか?」

恭介は言う。
辺りを照らす。

「……………」

返事は無い。そこには誰もいなかった。

「ん?どこ行った?」
「さっきここ入ったよね?」
「消えたのか?」
「いや、あれは確かに人間だ。消えるはずが無い」
「じゃあどこへ?」
「探してみようじゃないか」

恭介、小毬、来ヶ谷は室内を捜索する。

「ドアがあるよ」
「準備室らしいな」
「この先にいるのかもな」

ドアに手を掛け入る

「ひやあああああああっ!!?」

小毬、尻餅をつく。

「骨格標本だな」

ドアを開けた目の前にあった。

「な、何でそんなとこにあるのー?」
「コマリマックス、いいもの見せてもらったぞ」
「ふええええ〜ん。私、見せ物じゃないよぉ〜」
「お前ら何やってるんだ」
「なかなかレアなもの見れてお姉さん楽しかったぞ」
「ほら、さっさと探すぞ」
「さあ、コマリマックス立つんだ。お姉さんが手を貸してあげよう」
「うん、ゆいちゃんありがとう」
「だから、ゆいちゃんと呼ぶなと…」

あちらこちら探す。
そこには誰もいなかった。

「あれ?どこいった?」
「いないね」
「この扉の先じゃないか?」

もうひとつ扉がある。

「ああ、そうだな」

ガチャ
扉を開ける。

「教室だな」
「ほぉ…繋がっていたのか」
「二つ目の理科室だな」

先ほどの教室の奥にあった。

「探すか」
「了解した」
「よおーし、がんばる」

再捜索開始。

「……」
「…………」
「………」
「……」
「……………」
「ん?恭介氏、この溝はなんだ?」
「あー、隠し扉みたいだな」

それは足元にあった。

「さっきの人はここに入ったってこと?」
「それしかないな」
「開けるぞ」
「ふんっ!」
「…………」
「…………」
「…………」
「おい、開かないぞ」
「私も手伝おう」
「わ、私もがんばる」

「「「せーの」」」
「「「ぬぅ〜〜〜〜〜」」」
「…………」
「ダメだ開かないぞ」
「真人がいればな」
「じゃ、出直すか」
「別のところ探そうよ〜」

戻って廊下に出る。
戻ったところの三方向ルートの「右斜めの階段」に向かう。

「一階はこんなもんでいいか」
「二階へ上がろうよ」

二階へ上がる。
回り階段である。

到着。そして辺りを照らす。
左を向く。

「ここは体育館じゃないか」

体育館は理科室と調理室の真上だ。
中を照らす。

「広いね」
「突き当りが見えんな」
「ボールの跳ねる音がしたりして」

ティン…

「ひゃああああああっ!!?」
「あ、小毬スマン。ボールがあったんでついてみた」
「なんだ恭介氏か」
「恭介さん、脅かさないでよぉ」

小毬限界寸前のようだ。

「奥行ってみないか?」
「そうだな」



 井ノ原チームepisode3


「さて、二階だが」
「先進んでみましょう」
「この階は教室がありますネ」

教室に入る。

「なにも無いな」
「次の教室に行ってみましょう」

二つ目の教室に入る。

「これはカレンダーみたいです」
「十年前の物みたいだな」
「十年前から時が止まったままのようね」
「ザ・ワールドだな」
「ざ・わーるどですかっ」
「おぉ、時を止めるんですねぇ」
「くだらないこと言ってないでさっさと調べるわよ」

あちらこちら探す…。

「疲れたです…」
「私も疲れた〜」
「筋肉にも休憩が必要だな」
「そうね、とりあえず休憩しましょうか」


 謙吾チームepisode3

職員室内で探す鈴たち。

「何もないね」
「いや、そうでもないぞ」
「鍵がありません」
「第一理科室のがないな…」

他の鍵は全てここに保管されている。

「誰かが持っていったのか…」
「或いは無くなったか…だよね」
「その理科室に行ってみましょうか」
「い、行くのか…」

鈴は早くここから出たいようだ。
職員室を出る。

「ん?この先は体育館じゃないか?」
「そうみたいだね」
「入ってみるか?」

職員室の目の前は体育館だった。
とりあえず体育館入り口で立ち止まっている理樹たち。
中を覗く。

「こういう場所ってボールのバウンドする音とか聞こえそうだよね」
「そんなことあるわけないだろう」

ティン…ティン…

「何か聞こえた!?」
「気のせいだろう」

ティン…ティン…

確かにバウンドする音が聞こえる。

「ほら!?」
「な、何だ!?」
「おおお、音が近づいてくるぞ!?」
「そ、そんなことがあるわけありません…」

鈴と美魚はパニック寸前だ。
近づいてくる。

そして…。

「お前ら何やってるんだ」

暗闇の向こうから恭介が現れた。
続いて来ヶ谷、小毬もやってきた。
恭介が先ほどのボールをついて来たらしい。

「「恭介!?」」

理樹と謙吾またハモる。
そして、鈴のリミッターが外れた。

「脅かすな!ボケーーッ!!」

ドカッ!

恭介に一撃を与えた。

「鈴…悪かったからやめてくれ」
「許さなぁーい!!」

ゲシッゲシッ

恭介をこれでもかと痛めつける。

「痛い、痛い、痛いからやめてくれ」

しばらくそれを無言で見続ける他のメンバー。

「この、この、バカ兄貴」

そして止めに入る理樹。

「鈴、そろそろやめてあげようよ」

数十回踏み続けようやく治まる鈴。

「はあっ…はあっ…」

息が上がるまで踏み続けた。
肝試しの恐怖など既に無くなっていた。
そして立ち上がる恭介。

「鈴、大丈夫だったか?」
「うっさい!」

とりあえず恭介と理樹合流。

三話終わり




四話へ続く

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