「よぉ理樹」
「恭介」

休み時間、トイレで何故か恭介と出会った。
何で恭介が?……と思わないでもなかったが、まぁ恭介だからとある意味失礼な結論を導き、僕らは並んで用を足す。

「なぁ理樹」

用を足しながら、恭介が話しかけてきた。

「うん?」
「最近、三枝との仲はどうだ?」
「え?……うん、まぁ別にいつも通りだけど」
「そうか……」

特に何を言うでもなく、納得する。
そのまま用を足し終わり、2人並んで手を洗う。
そこでまた、恭介が葉留佳さん絡みの話をしてきた。

「なぁ理樹」
「うん?」
「三枝は、好きか?」
「……そりゃね」
「やっぱり2人でいると、楽しいか?」
「まぁ友達といるとはまた違う意味で、楽しいよ」
「そうか……お前らは何だかんだ言いながら、お似合いのカップルだな」
「ありがとう……」

蛇口を閉め、ハンカチで手を拭く。
もうトイレから出るはずなのだが、何故か僕と恭介は、そこから足を動かさない。
恭介は何かを考える様にうんうん唸っているし、僕もそれを無視して行くのも何だか気が引けて、待っていたのだ。
するとそこで、恭介が意を決した様に、口を開いた。

「理樹……実はな、俺はお前と鈴が付き合うと思ってたんだ」
「えぇっ?……僕と鈴が?」
「あぁ、お前ら仲良かったしな」
「うーん、鈴は好きだけど、どっちかというと妹みたいな感じだし……」

僕がそう言うと、恭介は同意する様に二度頷いて、話を続けた。

「確かにあいつは女の魅力が薄い……そりゃ、スポーツブラを高校生にもなって着けてる様ではそう言うしかないわけなんだが……」
「……え゛?」
「しかもまだ生え……いや、それは置いておこう」
「あの、恭介……?」
「ん?どうした?」
「今の話は、その……どこから?」
「どこからって……ん……っ!?」

恐らく今までの話は、思わず口を滑らしたというか、話に熱中しすぎて本来言わない事も口走ってしまったのだろう。
しかしそれは僕の耳にしっかりと入り込み、脳内にその言葉は刻み込まれていた。
それを恭介から聞いた、という事実と共に。

「……なぁ、理樹」
「うん?」
「今の……聞かなかった事には、出来ないか?」
「無理。それじゃ」
「うわあああああああああああああああああっっっ!!!」

叫び狂う恭介を残し、僕はトイレを後にした。
まさかまさかとは思ってたけど……本当だとはね、恭介……。

未だ叫び声が響くトイレに一度目を向け、僕は振り切る様に教室に歩を進めたのだった。





称号ネタです。
それが事実かどうかは本編も、そして暇つぶしでも謎です(ぉ




inserted by FC2 system