この物語はリアル肝試しからの続編となっております。
先に肝試しの方を読んでいただくと幸いです。
尚、こちらだけ読まれても物語上では大丈夫です。


肝試しの一件で沙耶を思い出した理樹。
それと同時に記憶も蘇る。
理樹は自室にいた。




帰ってきた少女



時刻は夕飯食べた後だった。
理樹は自室で独りベッドに腰掛け黙考していた。
いつかの恭介みたいに…。

その頃、リトバスメンバーが理樹の部屋の扉の前で集まっていた。
もちろん真人もいる。

「理樹はどうしちまったんだよ」
「郷愁じゃないのか?」
「誰かを思い出したんだろう」
「誰だ?」
「それは分からない」
「女性ですかっ?」
「誰かの名前を言っていたような」
「それぐらい懐かしくて大切な人なんだろう」
「「「う〜ん」」」

と皆考えていると、そこに二木が現れました。

「あなた達は何でこんな狭いところに集まっているのよ」
「どうも理樹が一人になりたいらしい」
「はい?いつもあなた達仲いいじゃない。どうしたのよ?」
「誰かを思い出したみたいでな」
「誰かって…誰よ?」
「さあな」
「お姉ちゃんも気にしてる?」
「そ、そんなわけないでしょう!でも…」
「でも?」
「…いいえ、何でもないわ」
「それより、俺はどこで寝ればいいんだよぉー」と真人は悩む。
「理樹があの状態ならお前は入れないからな」
「理樹よぅ、俺はどうしたらいいんだよぉ。入れてくれよぉ」

などと考えていた真人は…。

「そうだ謙吾!また泊めてくれよ。あの時みたいに」
「あの時って、黒猫の時か」
「うおおおおおおおおっ!KU・RO・NE・KOOOO!!思い出してしまったああああ!
!」
「アホだな」
「何叫んでんだ?」
「黒猫怖いよぅ」
「真人はまだ黒猫の正体は知らないんだな」
「正体ってなんだよう」
「お前は知らなくていい」
「なんでい…」

そんなことを話していたら、

ガチャ

ドアが開いた。
中から理樹が出てきた。

「「「理樹!」」」
「あれ?みんなどうしたの?こんな所に集まって。二木さんも」
「理樹くんが落ち込んだいるって聞いたから…」
「理樹、どうしたんだ?何か思い出したのか?」
「え?あ、何でもないよ。もう大丈夫だよ。みんなありがとう」
「そうか、何かあったら話してくれよ」
「うん、わかってるよ」
「うおおお理樹!復活したか!」
「真人、迷惑かけてごめんね」
「気にするな。俺ら仲間じゃないか」
「そうだよね仲間だもんね」
「それより、理樹タイムマシン完成したってよ」
「そうなんだ…」
「よーし、解散だー」

恭介が号令をかける。
みんな自分の部屋へと戻っていく。
そして21時過ぎ。

ふんっ、ふんっ、

「235、236、237…」

真人は腕立てをやっていた。
筋トレには一生懸命だ。いや、スペシャリストと言おう。
そんなアクティブな真人とは対象に、ぼーっと何かを考えている理樹。
そんな理樹に声をかける。

「理樹どうしたんだ」
「……」
「理樹?」
「……」
「りきぃぃぃぃぃぃ!!」
「うわっ!?真人なに?」
「いやよう、声かけても返事してくれなかったからさあ」
「あ、真人ゴメン」
「謝らなくていいけどよ。らしくないぜ理樹」
「そうかな。あ、僕何か飲み物買ってくるよ」

そう言って出て行った。
そしてすぐに真人は恭介に電話をかける。
恭介に「理樹が外に出たら俺に連絡してくれ」と頼まれたからだ。
そしてすぐ来た。謙吾も一緒に。

「よし、尾行するぞ」
「「は?」」
「謙吾は他のメンバー呼んでくれ。真人は俺について来い。理樹を追っかけるぞ

「お、おう」
「了解した」

そんなことを知るわけも無い理樹はと言うと、
中庭の自販機の前。
この時間はまだ動いている。

「えーと、なに飲もうかな」

とりあえず一般的なお茶にした。
近くのベンチに座る。…の近くに恭介たちはいた。理樹に見つからないように。

「結局、来ヶ谷と三枝しか来ないじゃないか」
「やはー」
「私は密偵得意だぞ」
「私もいるわよ」
「お姉ちゃん来たね」
「わたしも気になるわ」
「お姉ちゃんもリトルバスターズに入ったら?」
「いやよ。でも一緒にいるのは楽しいわよね」

隠れて理樹を見てる6人。
理樹がふと顔を上げる。
すると、学校のある所から光が溢れてきていた。

「あの場所は…」

理樹が走った。

「おい、理樹が走って行ったぞ」
「追っかけよう」

続いて恭介たちもあとを追っかける。
理樹は昇降口で何かやっていた。

「何やってるんだ?」
「ピッキングだろう。数日前に俺が教えた」
「棗先輩!どうしてそんなことを教えたんですか」
「理樹すげえな」
「理樹くんやりますネ」

そして開く。

「おっ、開けたぜ」
「理樹が入っていくぞ」
「俺達も行くぞ」

校内に入り、理樹が廊下を走る。恭介たちも走る。
そして、
理樹が止まった。
恭介たちもばれないように距離を置いて止まる。
教室の前で理樹は言った。

「沙耶?」

光輝いている場所は、あの地下の入り口のある教室だった。
光が消えた。
そこには小さな女の子が横たわっていた。
小学三、四年ぐらいの少女だった。

「あ、あれ…沙耶なの?違う…」

外見は沙耶そっくりだが高校生には見えない。
寝ているのか、気絶しているのか意識は無い。

「ねえ、大丈夫?」

少女を抱きかかえる理樹、そこに恭介たちが入ってきた。

「理樹、どうした?こんな所に来て…っ!?」
「うわっ、恭介!?」
「誰だその子は!?」
「少年に隠し子が!?」
「理樹くん隠し子いたのーっ!?」
「どう見ても親子じゃないでしょう」

冗談はさて置き

「それより誰だそいつ?」
「ここに倒れてたんだよ」
「てか、何で真人ここにいるのさ?」
「あーそれはだな…」
「散歩してて、途中理樹を見つけてここまで来た」

恭介がフォローする。密偵していたからね。
すると

「んっ…」

少女は目を覚ました。

「おい、起きたみたいだぞ」
「……!!」
「きみ、大丈夫?」

理樹は声をかける。

「えっ…?ってうわあああぁぁりきくんっ!!」

少女は叫んだ。

「え?きみ誰?」
「誰って…私よ、沙耶よ。あれ…あやだっけ?まあどっちでもいいわ」
「沙耶!?ってこんな背が低かったっけ?」
「低い?……うわああああっ!私縮んでるー!?」

後ろの見物人6人は…

「さっぱり状況が分からないんだが」
「俺もだ」
「何がどーなってるんだ」
「理樹君の知り合いみたいですねぇ」
「理樹にこんな小さな友人がいたとは」
「それより誰よ、その子は」

状況が分からないので聞く。

「えーとね、僕の戦友で高校生なんです」
「高校生!?には見えないが」
「何ででしょう?僕も分からないよ」

「そうよ、時空(とき)を越えて縮んじゃったのよっ!タイムマシンに乗って過
去行って、小さな理樹君と出逢って、そんで何でか知らないけど現代(こっち)
に帰ってきて、結果こんな身体になって、滑稽でしょ、ダサいでしょ、カッコ悪
いでしょ、笑いたいでしょ、笑えばいいわ、笑いなさいよっ!そう盛大に、あー
っはっはっはっ!」

「あーっはっはっはっ!」

と、同時に見物人らは口を開けて固まっていた。

「ったく……ぶつぶつ…」
「でも結果返ってこれてよかったね……」
「そ、そうよね…また理樹くんに逢えたんだよね」
「うん、僕も沙耶逢えてよかったよ…」
「理樹、お取込み中悪いんだがその子は高校生なんだな」
「うん。そうなんだよ。この前生き別れて、もう逢えないかと思った…」
「理樹くんごめんね」

そんで帰ってきて女子学寮前。

「さて、問題は小さな沙耶をどうやって、ばれないよう寮に隠すかだ」
「隠すって…」
「でも部屋はあるんだよね」
「ええ、退学扱いされていないならあるはず」
「行ってみようか」

ここで謙吾、真人、恭介と別れた。
そして入る。理樹も。
(ええっ!?何で僕はいいの!?)
途中来ヶ谷さんと葉留佳さんと別れた。

「あったわ」

沙耶はドアノブに手を伸ばす。

「………!?」
「う〜〜〜!!」

背伸びしてもドアノブに手が届かなかった。
代わりに二木が開ける。

「はあ、子供って不便ね」

沙耶がつくづく言う。
そして二木も自室に戻り理樹も男子寮に戻る。

そんなことで朝を迎えた。
食堂に集まる我ら。

「おはよう諸君、今日は休日だが」
「諸君って恭介と俺しかいないが」

今来ているのは恭介と謙吾しかいなかったと。
数分待って真人と理樹が来た。

「おはよう恭介、謙吾」
「なんでい、男しかいないじゃんか」
「いいじゃないか。こんな朝も」
「最初の最初はこんな感じだったよね」
「ここに鈴がいて…」

そんな話をしていると

「ちょっと何なのよこの人は!」
「はっはっは、いいじゃないか」
「姉御は可愛いものには手を掛けますから」
「ゆいちゃんは 『いつも』 だよ」
「わフー!」
「能美さんが餌食に…」
「クドリャフカから離れなさい」
「鈴くんも一緒にどうだ」
「さわんなぼけー!」

そんな女子が来たとさ。

「あれ?沙耶少し背が伸びたんじゃない」

理樹が気づく。

「そうなんだ少年、迎えに来てみたら…」
「大きくなってたのよ」
「一晩で気づくぐらいの背が伸びたんなら数日で元に戻るだろう」
「そうならいいけどね」
「そうだ理樹、せっかく今日は休日なんだから朱鷺戸と一緒に過ごしたらどうだ

「「えっ!?」」
「待て恭介、理樹は俺と筋トレする約束が…」
「してないからね」
「理樹さまぁぁぁぁ」
「理樹、今からモンペチ買いに行こう」
「いや待て、私とデートの約束が…」
「も、してないからね」
「むっ、少年は私を捨てるのか」
「ええー!?捨てるとかそんなんじゃないよう」
「冗談だ」
「ごめんね」
「気にするな少年」
「へぇー理樹くん人気だねー」
「沙耶、そんなこと言ってる場合じゃないよ」
「行ってこいよ」
「ダメだ理樹行っちゃ…」
「鈴、今日ぐらいいいだろ」
「むぅー」
「それなら理樹、モンぺチも買ってきてくれ。鈴のために」
「わかった」

というわけで、沙耶とデート…じゃなくてお使い。

「さあ、理樹くんどこ行く?」
「とりあえずモンペチ頼まれたからホームセンターにでも」
「ホームセンター?」
「いろいろ日用品を売ってる店だよ」
「へえー」
「とりあえず街に出よう。案内するよ」

理樹が沙耶の手を繋ぐ。
沙耶はちょっと赤くなる。でも沙耶の方も理樹の手を握る。
お互いが久しぶりだから緊張感と実感が共感する。
そして兄妹のようにもみえた。

「と言っても案内する所ないけど」
「へえーいろいろあるね。」

そんなわけで目的地到着。

「ここだ。ホームセンター」
「じゃ入りましょ」

店内に入る。
建築資材とか日曜大工品、家庭用雑貨などが店頭にあるが店奥へ向かう。
ペットショップコーナーへと進む。

「うわあ犬、犬、犬がたくさんいるー」
「猫もいるしインコとか亀とか」

沙耶は新しいものを見る目に変わっていた。少女は目を輝かせて。
犬は吠え、鳥は囀る。

「うわ、この鳥、口笛吹いてるよ」
「お嬢ちゃんこの鳥はねオカメインコって言うんだよ」

店員のおじさんが声をかけてきた。

「お嬢ちゃん!?私は十…」
「あーっと沙耶!待った!」
「何、理樹くん!?」
「今は背が縮んでんだよ。だから歳は誤魔化さないと」
「あ!そうだった忘れてたぁ!」
「沙耶気をつけないとね」

「くっ、ああ…そうよね、今の自分の状況忘れてペットショップではしゃぎまく
って、おじさんにばらしそうになって、挙句の果てには理樹くんに止められて、
滑稽でしょ、ダサいでしょ、カッコ悪いでしょ、笑いたいでしょ、笑えばいいわ
!」

「お嬢ちゃんどうしちゃったんだい?」
「い、いえなんでもないです」

理樹がフォロー?する。

「とりあえず早く猫缶買って帰ろう」
「モンペチってこれよね…」

モンペチ缶がある棚へ、
モンペチといっても数種類あるんだな。

「どれがいいかな?」
「そうね、モンペチ・ゴールデンなんかどうかしら」
「ほかには?」
「これとこれとこれで…」
「じゃ会計しようか」

レジへ行き会計を済ます。
そして外へ出る。

「次はどこへ行こうか」
「そうね…」

そんな相談をしていたら、

「あら、直枝さんじゃありません…かっ!?」

佐々美さん登場。取り巻きーズは…いないですね。

「笹瀬川さん!」と理樹が答える。
「…って誰?」と沙耶がそう言った。

「直枝さん、その子は誰ですの?」

と笹瀬川さんが逆に訊く。勿論小さな沙耶のことは知らない。

お互いの質問を理樹が二人に答える。
だが、理樹は沙耶の中身は言わなかった。言ったら混乱するでしょう。
そして笹瀬川さんと別れた。
そのあと、街を回って、
散策し終えた辺りで、コンビ二を見つけた。
時刻は丁度、夕方になる前。

「ローソンだ」
「ろーそん?」

沙耶は初めてだろうから知らない。

「コンビ二だよ、この前言ったじゃない」
「へぇー、これが」
「入ってみる?」
「え?う、うん」

自動ドアが開き、店内に入り回る。

「ここは食料販売店なの?」
「んー、まあ小売店かなぁ」
「へぇー便利なものね」
「いつでも来れるからね」

買い物を済ませて、そして外に出ると、真っ赤な夕焼けが、西の方に浮かんでい
る。
それを見る理樹と沙耶。
沙耶はこう言う。

「理樹くん…私ね、あの場所にいきたいな…」
「あの場所って…あの?」

そう言い沙耶は理樹を引っ張る。

「ちょっ…」
「行こうよ」
「そう…だね。久しぶりだし」

学校へと行き、校舎裏へ行く。
フェンスを越え、鬱蒼とした裏山の中に入っていく。
そう、そこはぽっかりとした広場、あの場所だった。

「懐かしいね」
「ここで一緒に練習したっけ…」

見た目は何も無い場所だが、二人にとっては思い出の地である。

「私ね、理樹くんに逢えてほんとによかった」
「うん、僕もだよ」

そのとき沙耶の体が光った。あのときと同じく。
そして
沙耶は元の姿に戻った。

「あ…理樹…くん…私…戻った……戻ったあー!やったあー!」
「沙耶!良かった元に戻って…本当に…」
「理樹くん」
「ん?」
「…ありがとう…」

沙耶は言う。笑顔で…

「理樹くん、『あや』って呼んでよ。これから」
「あや?」
「そう。昔みたいに」
「昔…ね」

理樹は、あやを抱き寄せる。
そしてキスする。

「あや、僕はずっとそばにいるよ」

理樹の精一杯の一言。
それにあやは答える。
ありがとう…と。

「そろそろ戻ろうか、みんなのいる所に」
「あ、理樹くん。『あや』って呼ぶときは二人っきりの時だけね」
「わかった」

そんなことで夜になっていき、寮へ帰還する。
勿論、僕と真人の部屋に。

「おっ、帰ってきた」

恭介が言う。
そこにはみんないた。笹瀬川や二木まで。

「うおわぁ!?誰だその姉ちゃんは!?」

真人はびっくりした。

「沙耶だよ」

はじめまして、と沙耶が挨拶する。

「沙耶ってあの…?」
「そうです」
「ええー!?あなた昼間に会ったあの子!?」

笹瀬川さんが叫ぶ。

「だって背が…」
「元に戻りました」
「訳が分かりませんわ」
「理樹遅いぞ。モンペチはどうした?」
「ああゴメン鈴。これ」

そう言って猫缶の入った袋を渡した。

「うわあ、すごいじゃないか、こんなにたくさん」

鈴が猫になったみたいに喜ぶ。

「良かったわね」
「佳奈多さん…ありがとう」

そうして佳奈多は小さな笑みをうかべた。

「よし、理樹も帰ってきたことだし何かしようぜ」

恭介がまた何かを始めようとする。
それは僕らにとってごく普通の日常。
だが今度は新しい人が加わっての出来事。

明日に向かって、
未来を創って、
新しい世界へ進み、
永久に繋がる
それが僕らリトルバスターズ!!

第二部完 3ndストーリーへ続く inserted by FC2 system