「大丈夫だよ、僕も今来たところだから」 「君なら1時間待っててもそう言いそうだが…まあいい、では行こうか」 「そうだね、折角のデートだし」
特製姉御サンド?
普段から一緒にいる事は多いけどデートはそう頻繁には出来ない。 だからこういう時にいっぱい楽しまないと。 「ところで理樹くん…実際は何分待ってたんだ?」 「えっ?」 しばらくぶらぶらと歩いたところで唯湖さんに急に尋ねられた。 確かに唯湖さんを持たせまいと約束の40分前には来たけどなんで… 「君は自分の手の状態ぐらいは把握した方がいい」 「なるほど、そういう事か…」 言われてから手を見てみると、手袋をしていない手が随分と震えていた。 「すまないな、私に用事があったばかりに…」 「大丈夫だよ、唯湖さんのせいじゃないから」 「ふふ、君はやはり優しいな…どれお姉さんがご褒美をあげよう」 言葉の直後に悴んでいた手に急速に温もりが伝わる。 その温もりは二人の手がしっかりと重なり合った証。 「ありがとう、唯湖さん」 「なに、これぐらい朝飯前さ…それとも更なる温もりの方がいいかな?」 「えっ?」 ふにゅ… 擬音の後、重なり合った手の暖かさはそのままに今度は腕の部分に温もりと柔らかさを感じる。 「唯湖さん、これはさすがに…」 「そんなに恥ずかしがることもあるまい、それともさっきの方が良かったかね?」 こんな今の状態を他の人が見たら全員が「腕を組んでる」と答えるだろう。 しかし正確には腕が唯湖さんの胸にサンドされてるという危険な状態。 嫌かと言われれば断固として「否」と答える。 だって男の子だから。
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