『佐々美親衛隊三人組とダイエット中の小毬が毛の処理の悩みを相談する』

 

「佐々美様のルームメイトの小毬さんに、是非お聞きしたいことがあります」

 最近甘いものの食べすぎか理樹に「ちょっと太った?」と女の子に言うべきでないことをあっさりといわれ、ショックを受けたためダイエットを始めた小毬が、ランニング中に出会った3人組の女性に引き止められていわれたことがそれだった。

「ああ、確かさーちゃんの後ろによくいる……」

 その三人組にどこか見覚えがあった小毬は、記憶からその三人組が何者なのかを探り、その答えをたぐりよせる。

「中村由香里です」
「川越令です」
「渡辺咲子です」

 一応面と向かって話すのは初めてなので三人は自己紹介をしてくる。

「ゆかりんにれいちゃんにさきさきだね。よろしくー」
「ゆ、ゆかりん?」
「れい……ちゃん」
「さきさきですか……よろしく。それより、佐々美様のことについてなんですが……」

 早速名づけられたあだ名にちょっと戸惑うものの、すぐに話題を元に戻す三人。

「うん、いーよ。なんでも聞いてー」
「それを聞いて安心しました。何しろ聞きづらいことなもので……」

 聞きづらいこと、本人から直接は聞けないようなことなのだろう。
 何気に色んな相談を受けている小毬だから、そういった質問もこれまでにいくつかあった。

「実はですね……その、毛、についてなんです」
「毛?」

 顔を赤くしながら話す咲子。他の二人も赤くしている。

「髪の毛がどうかしたの?」
「い、いえ違うんです。そっちの毛じゃなくて……」
「そっちの毛じゃない? とすると……あ」

 何を言いたいのか気づいたのか、小毬も顔を赤くする。

「え、で、でもその毛がどうかしたの?」
「いえ、その、実は……」
「気になりだすと止まらなくなりまして……」
「その、一体、どういったお手入れの仕方をしているのかなって」

 困った。
 流石の小毬でも今までにないような質問だった。
 確かに本人に聞きづらい質問ではあるけど、それ以上にルームメイトに聞ける質問でもない気がする。

 

 

 

 

 




    
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