リクSS「お菓子と理樹どちらを選ぶか真剣に迷う小毬」
ある日の昼休み、小毬は究極の選択を責められていた。 「ど、どうしよう……」 目の前には「少し眠いから寝るね」と言ってすやすやと寝息を立て寝ている理樹の姿……と、いつものお菓子が心狭しと小毬に食べられるのを心待ちにしている。 そう、どちらを頂こうか小毬は迷っているのである。 「う、う〜ん……」 理樹のを食べるのもいい。しかし、目が覚めたときとんでもなく気まずくなりそう。でも食べたい。 しかし、目の前にあるお菓子を今食べないと食べる機会を逃し、なあなあで夕方や夜になる可能性がある。美容やらなにやらを考えると今食べないともったいない気がする。 「うぅー……」 今だ悩んでいる小毬だが、ちらりと携帯の時計を見てみる。どうやらあまり時間は残されていないようである。 どうする、小毬!? 今、小毬の頭の中で脳内裁判をしている。むろん、裁判長は小毬、裁判員も小毬というシュールな絵である。 「えー、では議題は『理樹君を食べるべきか、お菓子を優先すべきかどうか』です」 脳内でがやがやと外野が騒ぎ始める。 「静粛に! 静粛に!」 裁判長らしき人物が木槌でカツカツと叩く。数秒後、脳内に静寂が訪れる。 「おほん、では誰か意見はありませんか?」 裁判長らしき人物が周りを見渡し、誰か挙手をしていないか確認する。一人の自分が(当たり前だが)手を上げる。 「はい、ではどうぞ」 「理樹君を食べればいいと思います」 その発言にまた外野ががやがやと騒ぎ始める。裁判長が木槌を鳴らし静かにさせる。 すかさず、反対側にいた小毬が反論をする。 「それだと、リトルバスターズ第8条に違反すると思います」 リトルバスターズ第8条……それは抜け駆けはしないという約束事。 リトルバスターズ女性メンバー皆で決めた決まりごとの一カ条である。ちなみに全部で10条ある。 さらに理樹を食べるといった小毬は続ける。 「誰にも言わなければ分からないよ〜」 なんとも黒い発言である。皆で決めた約束事を自ら破ろうとしている。 「ふふっ、だって誰とも付き合わない理樹君を頂くいいチャンスなんだよ?」 黒い小毬はさらに発言を続けると、徐々にそれは広がっていく。 言うならば川に石を投げつけたときにパチャンパチャンと水切りをしていくようにバラバラだが波紋のように同意する小毬が増えていく。 「し、しかし……! ばれた場合はどうするのですか」 問題はそれである。仮にばれずに事を済ますことが出来たとしても唯湖あたりは感づく可能性がある。 「ばれたらもみ消す。ふふふ……」 にやりと黒くどす黒いオーラを出して不敵に笑う小毬、不気味である。 「は、冗談としてばれないようにすればいいだけのこと」 「冗談に聞こえないよぉ〜……」 「じゃあ、そろそろ行動に移すので今日はここでお開き!」 カンカンと強引に議題を終わらして、現実世界へと戻ってくる。 と、言っても小毬の中では1時間や2時間は議論していただろうが、現実では1分も経っていない。
「じゃあ、理樹君。こっち頂いちゃうね」 仰向けで寝ている理樹のものを掴んで、小毬は不敵に笑い、それを舐めるのであった。
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